習作

人間とあくま プロローグ

目を瞑れば、いつも思い出す風景。 知らない街での期待。高揚感、…そして軽い不安。 その中に浸りながら、みなが今日の夜に向けて準備をしている。 腰で互いにくっついた、白い真珠のような肌をした双子の美しい女が楽しそうに、自らの奇麗な、緑と藍色の宝…

今構想中の主人公

ハーフフィーンドの魔物っ子さん。 絵は大学の同級生:N村 培 氏*1による。 *1:神戸大学軽音二部部長。なんとこの絵は数十秒で描かれてしまった

雨よりももっと

構成かえるために、ほぼはじめから書き直し+再編成することにします。 モチーフ(元ネタとも言う)として、ある民話をもじろうと考えているんですが この冒頭だとモチーフっぽさがまったく出ないことに気づきました。 素人の練習なのにグロさを抑えようとか…

雨よりももっと 3

雨よりももっと 1 雨よりももっと 2 石上の葬儀から一週間が過ぎた。 その間に、学校までの川沿いの道を薄紅色に彩っていた桜にも徐々に緑の葉が混じり、生命力に溢れかえったその姿をこれでもかと誇示している。ちょうどその木々の緑葉が、可憐に色づいた、…

雨よりももっと 2

雨よりももっと 1 凄まじく陰鬱な葬儀だった。 石上真子、通称『ママ子』の葬儀は、彼女の自宅で、しめやかに行われていた―――とは、到底言いがたく。いや、客観的に、事実だけを見ればそう言えるだろう。とても『しめやか』に葬儀は進行している。黒いスーツ…

雨よりももっと 1

「あー、どしゃ降りだよー」 空。―天蓋には灰色の雨雲が張り付いていた。…が、その陰鬱な雲は、自身の限界近くまで溜め込んだその湿気を、満面に湛えている緊張感、それ以外のものを決して降らせているわけではなく。 「雨なんて降ってないじゃん」 宙に手を…

練習 1

いつもの陰鬱な会議だった。もうどのくらい時間が過ぎたのかよくわからなくなっていた。いつだって「彼ら」は安全な方法をとりたがる。まるで自分たちの黒い硬質な肌のように、仕事や概念までカチカチに決めたがる。すき間なくピースを詰めていくようなパズ…