短編

乞食と唾

朝起きると空気がすげぇ酒臭くて、これが自分の息だと気付くまでには少しばかりの時間を要した。あたまがくらくらする/昨日飲みすぎた/ぐらついて灰皿を踏み付けた。畳がおれの肺のように真っ黒になった。 先週から気管支の調子が悪くて、満足に眠れない。…

生きているのがめんどうだ

まったくなんてやつだ人生は。結局勝ち馬に乗ったやつが勝つゲームじゃねえか。僕は今日も布団にくるまってそう呟いた。だから成功するか、しないかどうかなんてただの確率ゲームにしかすぎないんだ。だから……だから、っていっちゃおかしいんだろうけど、僕…

練習 2 私の○○さん

風呂に入ったまま、眠ってしまっていたようだ。湯は、もうぬるくなってしまっていた。指の皮がふやけてしまっている。湯で顔をこすり、唸りながら浴槽のへりにあごをのせ、細い目を開けると、そこに、黒い靄*1のようなものが見えた。湯気の見間違いかと思い…